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若年性特発性関節炎

若年性特発性関節炎とは?
若年性特発性関節炎(JIA)は、 持続する関節の炎症を特徴とする慢性疾患で、
関節炎の定型的な症状は疼痛・腫脹・運動制限です。“特発性”
とは病気がどのようにして起こるのか原因不明という意味で、“若年性”とは、
ここでは16歳以前に発症したということを意味します。

慢性疾患とは?
適切な治療ですぐに治るのではなく、 治療そのものはまずは症状や検査結果を改善するためのものであ
るため慢性疾患と呼ばれます。 診断がついてからどのくらいで病気が治るのかはっきり言えません。

頻度は?
JIAは稀な疾患で、 子供10万人あたり約80?90人ぐらいの頻度で発症します。

原因は?
ヒトの免疫機能はウイルスや細菌などの感染から我々を防御しています。
そうすることで体にとっての異物や潜在的危険物 (あるいは体を破壊するもの) を、
無害なものや元々あるものと識別することができます。
慢性関節炎は、 “異物”と“自己の細胞”を識別する能力の一部分が喪失し、
自分自身の関節の成分を攻撃してしまう (原因不明だが) 異常な反応を免疫機能が起こす結果であ
ると考えられています。 このためJIAのような病気は、
自分自身の免疫機能が自身の体の器官に対して応答するという意味で
“自己免疫性疾患” と呼ばれています。
しかし、その他の慢性炎症性疾患同様JIAも、 はっきりしたメカニズムは不明です。

遺伝性疾患なの?
JIAは親から子へ原因が直接うつることはないので遺伝性疾患ではありません。
にもかかわらず、いくつかの遺伝的素因(その大部分が不明)が、
この病気の引き金となることも事実です。科学的な立場からの一致した見解として、
この病気はさまざまな要因からなっており、 遺伝的素因と (おそらく感染症などの)
環境因子が組み合わさった結果ではないかと考えられています。
遺伝的素因があったとしても兄弟に発症することは非常に稀です。

どのように診断するの?
16歳以前に発症し、(ウイルス感染症による一過性関節炎除外のため)
6週間以上関節炎が持続し、
(関節炎を起こす可能性のある他の全疾患を除外することができ)その原因が不明であ
れば医師はJIAであると診断します。
言い換えるならJIAという言葉は、小児期に発症した原因不明の持続性関節炎のすべての型を含みます。
JIAの中にはタイプの違う関節炎も見られます。
それゆえJIAの診断には、現在持続する関節炎があり、現病歴・ 診察所見・
検査所見から他の病気を慎重に除外することがベースになります。

関節で何が起きているの?
関節を覆う滑膜という膜があり普通はとても薄いのですが、
これが非常に厚くなり炎症細胞で満たされ滑液が多量に増えると、これが関節の腫脹・疼痛・
可動域制限の原因となります。関節の炎症の特徴として、長時間の安静の後にこわばりが起こります。
従って特に朝に見られるわけです。 (朝のこわばり)
時として子供は痛みを和らげようと関節を屈曲位と伸展位の中間で保とうとすることがあ ります。
これは“鎮痛位”と呼ばれる肢位で、痛みの少ない格好をとることにより痛みの持続的な軽減に有効であ
るとされています。
もし適切な治療を受けないと、2つの機序により関節炎がひどくなります。
a) 滑膜が(滑膜パンヌスと呼ばれる構造で)非常に肥厚し、色々な物質が放出されて関節・
軟骨・骨が侵触されます。
b) 鎮痛位を維持してしまうと、筋の萎縮、筋や軟部組織の過伸展・退縮、柔軟性の低下、
などが引き起こされます。

いろいろなタイプが存在するの?
JIAにはいくつかの異なる種類がある。大別すると、熱や皮疹・
心膜炎などの全身症状が間欠的に現れるもの
(全身型)と、いくつかの関節に症状がでるもの(少関節型、多関節型)とに分けられます。
通常どの型であるかは、発症して最初の6ヶ月間に現れる症状で決めることになっています。
発症型で呼ぶのはこのためです。

全身型JIA
関節炎とともに全身症状(全身とは体の様々な器官を指している)が現れることが特徴です。
主徴は、高いスパイク熱と解熱を反復し、時に熱に伴いサーモンピンク色様の皮疹が出現します。
他の症状として筋肉痛・肝脾腫・リンパ節腫脹・心膜炎・胸膜炎などがあ ります。関節炎はだいたい
5箇所以上の多関節に発病期もそれ以後も出現します。 この疾患はどの年齢の子供にも罹患します。
患者の約半数は全身症状を主とし、もっとも長期的予後が良いとされています。残り半数は、
全身症状よりも関節症状が前面にでます。関節症状とともに全身症状も持続する患者は少数です。
全身型JIAは全体の10%未満で、子供に特有の型であり大人では稀にしか起こりません。

多関節型JIA
多関節型JIAは、発症して最初の6ヶ月間に全身症状はそれほどなく、5箇所以上の関節症状を認めます。
リウマトイド因子と呼ばれる血中の自己抗体が存在するかしないかでリウマトイド因子陽性型とリウマト
イド因子陰性型に分けられます。
1) リウマトイド因子陽性多関節型JIA 子供では非常に稀で、全体の5%弱にしか認めません。
大人のリウマトイド因子陽性の関節リウマチ(大人で通常認められる慢性関節リウマチ)
とほぼ同じと考えられています。
初期は主に手や足の小関節に対称性に見られますが、徐々に他の関節にも拡がります。
一般的に女性に多く、
10歳以降に認められることが多いようです。 時々深刻な関節炎となることもあ ります。
2) リウマトイド因子陰性多関節型JIA 全体の15-20%にみられます。
いろいろな疾患が組み合わさった疾患と考えられています。好発年齢はあ りません。
予後は疾患の組合せにより違います。

少関節型JIA
発症から6ヶ月の間に全身症状はそれほどなく、5箇所以下の関節症状を認めるものです。
比較的大きな関節
(例えば膝や足首など)に非対称性に起こります。時々単一関節のみに現れることもあ ります。
(単関節型)
また発症から6ヶ月以降に関節症状が5箇所以上に増える場合もあります。
こういう型を持続少関節型と呼びます。
少関節型は大部分が6歳以前の発症で、主に女児が罹患します。適切な治療がなされ、
2-3の関節に残存するだけなら予後は比較的良いとされています。しかし関節症状は変化しやすく、
なかには関節症状が拡大する例もあります。ある一定の割合で起こる重大な合併症として、
眼球を包むように存在し血管に富み眼に血液を潅流しているぶどう膜と呼ば
れる部分の前部に炎症が起こることがあ
ります(ぶどう膜炎)。ぶどう膜の前部は虹彩と毛様体で形成されており、
その両方に炎症が起こることから慢性前部ぶどう膜炎または慢性虹彩炎と呼ばれています。
もし発見されず治療もされなければ前部ぶどう膜炎は進行し、眼に非常に深刻な障害を起こします。
早期発見が大事で、
前部ぶどう膜炎は眼は赤くならず、子供は「目がぼやけて見える」と訴えないため、
患者も医師も気づかないことがあります。
リスクの高いと思われる子供に対して、
3ヶ月毎に眼科医によって細隙灯という特別な器械を使う定期的検査をしてもらうべきであ ると考えます。
少関節型はもっとも多いJIAの型です(全体の50%)。抗核抗体(ANA)
が陽性でぶどう膜炎を併発するのは大人ではみられず、
子供でしかみられないタイプです。

乾癬性関節炎
乾癬または乾癬に関連しておこる関節炎のことです。
乾癬とは鱗状の皮膚が特に肘や膝の上に現れる皮膚の病気です。
関節炎に前後して発症する。症状の発現とその後の経過によってこのタイプであ ると決定されます。

付着部炎関連関節炎
最も一般的な症状としては主に下肢の大関節に起こる少関節炎です。
骨に腱が付着する部位に炎症を生じて起こります。
一般的な痛くなる部位は、足・かかとの後ろや下などの局所的な部分です。時々、眼が赤くなったり、
涙がでたり、
光をまぶしく感じたりする少関節型のぶどう膜炎とは違った急性前部ぶどう膜炎を起こすことがあ ります。
多くの患者さんがHLA B27という検査が陽性になります。圧倒的に男性に多く、7?
8歳以降に起こることが多いです。
この病気の原因は様々です。患者さんによっては、背骨(脊柱)に関節炎が拡がり、
その後仙腸関節(背中の下の辺り)
まで拡がっていきます。実際には、大人で多い疾患であり、背骨に炎症がすすめば脊椎関節炎と呼ばれます。

どうして慢性虹彩炎が起こるの? 関節炎と関連があ るの?
関節炎と同様に眼に対する(自己免疫的な)異常な免疫反応が目に炎症を起こします。
正確な機序についてはよくわかっていません。
虹彩炎を合併するのは、主に少関節型で抗核抗体(ANA)陽性の若いの患者さんです。
眼と関節が関連している理由はわかっていません。
しかし、ある一定期間をおいて関節炎と虹彩炎のフォローすることは重要で、
関節炎が軽快したとしても定期的な眼科でのチェックは続けるべきです。虹彩炎の進行の特徴は、
関節炎の程度と全く関係なく、
少しずつ進行します。
虹彩炎はたいてい関節炎発症時からフォローされているか、同時期に発見されることが多いです。
関節炎より先に発症することは非常に稀です。そのような例は不運な場合が多く、
症状が現れないために早い段階での発見が遅れたり、
既に視覚障害のような症状が出てしまっていたりすることも残念ながらあ ります。

この病気に関して子供と大人の違いはあ るの?
あります。多関節型でリウマトイド因子陽性というケースは、大人のリウマチ性関節炎の患者さんの約
70%に見られますが、
JIAでは5%以下にしか見られません。少関節型の発症早期はJIA患者さんの約50%には見られますが、
大人では見られることはあまりありません。全身型も子供に特徴的であ り、
大人では滅多にみることはありません。

どのような検査が必要なの?
診断時、臨床症状に関連したいくつかの検査項目を使います。それによってJIAの型を詳しく決定したり、
慢性虹彩炎のような合併症が起こりやすいかどうか見極めます。
リウマトイド因子(RF)は自己抗体の一種で、多関節型JIAでのみ持続的に高値を示し、
大人の慢性関節リウマチでのRFと同じくらい重要です。
抗核抗体(ANA)は少関節型JIAの早期によく陽性になります。
この検査はJIAのなかでも慢性虹彩炎になる危険性が高いことを示し、
定期的な(3ヶ月毎)眼科受診が必要となります。
HLA-B27は細胞マーカーで、付着部炎関連関節炎の患者さんの80%以上で陽性となります。
健常者では陽性率は5?8%と非常に低いです。
他の検査として、赤血球沈降反応(ESR)やCRPのような一般感染症でも測定されるものが使われ、
臨床症状と関連しており病気の管理に使われます。
薬剤による治療が始まれば、薬剤副作用のチェックのため定期的に必要な検査(例えば、血球数や、
肝機能酵素、
尿検査など)を行います。
定期的なX線検査は疾患が進行していないか、治療法の調整が必要でないかの評価によく使われます。

どのように治療するの?
JIAを治す特効薬的な治療法はありません。治療の目的は子供たちが普通の生活をおくれるようにすること、
自然に病気が寛解するまでに関節や臓器が冒されないように予防することです。
寛解するまでの時間は様々なので予想しにくいです。
治療の主体は全身や関節の炎症を抑制する薬剤が使われるのと、
関節機能を維持し変形を予防するためのリハビリテーションです。
治療はすべて同時に行われ、色々な専門家(小児リウマチ専門医、整形外科、理学・
作業療法士、眼科医)の協力が必要となります。
1)非ステロイド系消炎薬(NSAIDs) これには症状に対する抗炎症作用と解熱
(熱の下がった状態を維持する)作用があります。
症状とは、病気そのものを緩和させるのではなく、
炎症をコントロールすることにより症状をコントロールします。
もっともよく使われるのがナプロキセンとイブプロフェンです。
アスピリンは効果的で安いのですが、最近は副作用の問題(血中濃度が高くなると、
特に全身性JIAの患者さんで肝毒性がでることがある)
で使われることが少なくなりました。大人で最も一般的な副作用として耐性や胃部不快感があ りますが、
子供ではあまり一般的ではありません。NSAIDs同士(ナプロキセンとイブプロフェン)
での関係はよくわかっていませんが、
たまに片方のNSAIDsは効果的でも、もう片方は効かないことがあります。
関節炎に対して最も効果が現れるのは治療開始後、
数週間ぐらいしてからです。
2)関節への注射 1箇所ないし少ない箇所の関節に起こる場合や、持続する(疼痛による二次的な)
関節拘縮により変形が起こる場合などに使われます。
注射に使われる薬剤は長時間持続するステロイド製剤です。
トリアムシノロン・ヘキサアセトニドは全身循環での吸収が少なく、
長時間作用(ほぼ数ヶ月)するためよく使われます。
3)第2選択薬 NSAIDs
やステロイド注射による十分な治療をしているにもかかわらず多関節炎が進行してしまう場合があ ります。
第2選択薬はその前に行っていたNSAIDsの治療に加えて行います。
その効果が現れるのは治療開始数週間から1ヶ月後ぐらいです。
まず使われるのが、1週間毎の少量のメソトレキセートです。これは多くの患者に効果があ ります。
抗炎症作用を持ち、
機序は不明ですが一部の患者さんを寛解状態にします。有効安全域は広い方ですが、
最も一般的な副作用としては胃の消化障害やトランスアミナーゼ値の上昇があ ります。
治療中は副作用のチェックのため定期的検査による観察が必要です。
葉酸とビタミンを併せて使うことで、副作用の危険性を少なくします。
サラゾピリンもまたJIAで効果を示すことが知られていますが、
メソトレキセートより薬の有効安全域が狭いです。
今までにサラゾピリンを使った治療症例数はメソトレキセートよりも多いです。
シクロスポリンやレフルノミドなどの使用可能薬剤が
JIAに効果があるかどうかは、ちゃんとした研究結果がでていません。
シクロスポリンはステロイド抵抗性のマクロファージ活性化症候群の治療に有用な薬です。
マクロファージ活性化症候群は深刻で、
全身型JIAの致死的可能性のある合併症の一つで、炎症が進行し二次的な全身の炎症が活発化します。
子供でレフルノミドを実際使ったという情報はほとんどありません。
新しい展望としてここ数年、炎症を進行させるのに非常に重要な役割をしている腫瘍壊死因子(TNF)
を選択的に阻害する抗TNF薬と呼ばれる薬がでてきました。これらは単独、
ないしメソトレキセートと共に使われ多くの患者で効果を上げています。
効果はとても早く現れ安全性も高いです。
長期使用時の副作用にどのようなものがあるかはっきりさせるためには、もっと長期の追跡調査が必要です。
すべての第2選択薬は医師の管理下で厳密に使われます。抗TNF薬は非常に高価な薬です。
4)副腎皮質ステロイド これはとても効果があり、利用しやすい抗炎症薬ですが、
長期間使うと骨粗鬆症や成長障害などの深刻で重要な副作用が現れるため、使用が制限されます。
しかしながら、
この薬は他の治療に抵抗性を示す症状に対する治療や、致死的可能性のあ る合併症の治療に有効であり、
第2選択薬の使用効果が出てくるのを待つ間の疾患の急な変化をコントロールするという‘橋渡し’
的な役割をすることができます。局所用ステロイド(点眼薬)は虹彩炎に使われます。
もっと深刻な場合には眼球周囲への注射または全身へのステロイド投薬が必要となってきます。
5)整形外科的手術 主なものとして関節破壊が進み人工関節に置き換える場合と、永久的拘縮があ
り軟部組織を外科的に切開し減張する場合です。
6)リハビリテーション 治療のうえで非常に大事な要素です。
骨折のとき変な形にならないよう副木をあてるのと同じくらい、
適切な運動を行うことは関節の変形予防に必要です。可動域を保ち・筋を萎縮させず強度を保ち・
変形を止めるもしくは治すためになるべく早期にルーチンに行うべきです。

治療の主な副作用はなに?
JIAの治療に使われる薬剤は、体への悪影響がすぐでることはあまり多くあ りません。胃弱、
胃障害はNSAIDsのもっともよく知られた副作用ですが(そのため食べ物を摂った後に飲むべきなのですが)
大人に比べ子供ではあまり一般的ではありません。NSAIDsは血中の肝機能酵素を上昇させますが、
アスピリン以外の薬でおこることは稀です。
メソトレキセートも比較的副作用は少ないです。吐き気、嘔吐といった胃腸の副作用はあ まりありません。
薬が悪影響を及ぼさないか見張っておくことは大事で、定期的検査(血球数、肝機能酵素など)
が必要です。もっともよくある検査異常は肝機能酵素の上昇で、
薬をやめるか量を減らすことで元に戻ります。
葉酸や葉酸拮抗薬の投薬は肝毒性を減らすのに効果があります。
メソトレキセートに対する過剰な反応は起こることはあるが非常に稀です。
サラゾピリンもそれ程副作用はでません。一番多い副作用は皮疹、胃腸障害、
トランスアミナーゼ上昇(肝毒性)、
白血球減少です(白血球減少は感染の危険を増加させます)。
そのためメソトレキセートのように定期的検査が必要です。
抗TNF薬も副作用は少ないです。患者さんはできるだけ感染症をおこさないように注意する必要があ ります。
長期間の適用量のステロイド使用は深刻で重大な副作用を引き起こします。成長障害や骨粗鬆 症です。
ステロイド大量投与は食欲を増進させ、肥満となることがあります。カロリー摂取を増やさずに、
食欲を満足させるだけ子供に食べさせるように指導することも重要です。

どのくらい治療は続くの?
病気の症状が続く限り治療は続けます。病気の続く期間は予測ができません。JIAの多くの場合、
2・3年からそれ以上の治療後に自然に寛解していきます。JIAの推移は寛解期と増悪期を繰り返し、
治療法の変更が必要になります。
完全に治療をやめられるのは、長い時間たって完全に病気が寛解したと考えられた時のみです。

眼科受診(細隙灯による検査)は、いつまでどのくらいの頻度ですればいいの?
リスクのある患者さん(抗核抗体陽性)は少なくとも3ヶ月に1回は検査を受ける必要があ ります。
JIAそのものはよく治療がされていても、虹彩炎が進んで眼に深刻な影響を与えることがあ るからです。
虹彩炎が進行する危険性は時間とともに低下していきます。
しかしながら、関節炎初発から数年経過してから虹彩炎が進行することもあ
ります。それゆえに関節炎がよくなったとしても何年間かは眼の検査をして用心しておく必要があ ります。
急性ぶどう膜炎は関節炎や付着部炎の患者さんにおこり、症状(眼の充血、痛み、
まぶしさ)を急激に呈しますので、
早期診断のために定期的眼科検診を受ける必要はありません。

関節炎の長期的進行(予後)は?
関節炎の予後はそれ自体厳しく、JIAの病型に依存しており、
早期に適切な治療がされることが大きな影響を及ぼします。
この10年間に予後は、治療の進歩にともなって良くなってきています。
全身型JIAの予後は様々です。患者さんの約半分は関節にほんの少しの症状があ るだけですが、
症状が定期的に再燃することもあることです。最終的な予後は、
自然に寛解となり大抵良いです。残りの半分の患者さんは、
数年かかって全身症状がよくなる間に関節炎がしつこく続きます。
そのうちの一部の人には深刻な関節破壊が起こることがあります。
関節炎が続く患者さんのごく少数には、 関節症状とともに全身症状もしつこく続き、
予後のとても悪い免疫抑制療法が必要となる深刻なアミロイドーシスという合併症をきたすことがあ ります。
RF陽性の多関節型JIAはしばしば関節炎が進行し、深刻な関節破壊をおこすこともあ ります。
RF陰性の多関節型JIAは、臨床症状・予後ともに複雑です。全体の予後はRF陽性の場合より良好です。
4分の1程度の患者さんでは関節に障害がでます。
少関節型JIAの関節の予後は、2・3の関節に限って炎症が残るだけで比較的予後は良好です。
関節症状が他のいくつかの関節に拡がった患者さんの予後は、RF陰性多関節型JIAの方とほぼ同じです。
乾癬性JIAの多くの患者さんは、 少関節型と症状はほぼ同じですが、
ァ 時間がたてば多関節型になる傾向がやや高めです。
関節付着部炎を伴うJIAも予後は様々です。軽減してくることもあれば、
仙腸関節まで進行することもあります。
臨床的特徴や検査錠の特徴がないものは、
診断がついた早い段階で予後が悪いであろうと予測することができます。
このため早期から積極的な治療が行われるべき、と言われており関心が持たれています。

虹彩炎については?
虹彩炎はもし治療されないままなら、 眼のレンズが曇ったり(白内障)
盲目になったりとても深刻な結果を招くことがあります。
しかし早期に治療開始すれば、たいてい治療に対しての反応はとてもよいです。早期診断できれば、
予後も良いです。。

ワクチンは打っても大丈夫ですか?
もし免疫抑制療法(ステロイド、メソトレキセート、抗TNF薬など)をしていれば、 弱毒生ワクチン
(例えば風疹ワクチン、
麻疹ワクチン、 ムンプス(流行性耳下腺炎)ワクチン、ポリオワクチン、BCGなど)
を使った場合には免疫能が低下しているために感染の危険性が増大する可能性があ ります。
生きた微生物を使わずに抗原となるタンパク質を使った不活化ワクチン (破傷風ワクチン、
ジフテリアワクチン、 ポリオワクチン、
B型肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、 肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ菌ワクチン、
髄膜炎菌ワクチン) はすることができますが、
免疫抑制状態のため予防接種の効果が得られないことがあります。

食事が病気の原因となる?
食事が病気の原因となる根拠はありません。一般的に子供の場合は年齢にあ
ったバランスのとれた普通の食事で構いません。
ステロイド内服で食欲が増進した場合は、過食を避けないといけません。

気候は病気の原因となる?
気候が病気の発生に影響している根拠はありません。

運動はしていいの?
運動をすることは、普通の子供が毎日の生活の中で行うことです。JIAの治療の主たる目的の一つに、
できるだけ普通の生活を送らせ、
周りの友達と変わりがないと理解してもらうことがあります。それゆえ一般的な傾向として患者さんには、
したい運動をして良いが、
もし関節を痛めたら止めると約束しておきます。
力がかかることは関節の炎症にとって有益でないにもかかわらず、
病気のために友達と運動ができない、 という心理的影響を受けるよりも、 関節に少しの影響があることは当然承知のうえで認めさせます。
この選択により心理的励みになり、子供は自立し、病気によって負った
制限を自分なりに克服しようとします。
好きなスポーツよりも水泳やバイク競技などといった関節への負荷が少ない
運動を選ぶことも必要なことです。

子供を普通の学校に行かすことはできるの?
子供が普通の学校に通うことはとても重要なことです。学校に通うのに問題があ る場合があります。
歩くのが困難な場合、
疲労が出易い場合、関節の疼痛やこわばりがある場合などです。
教師に学校生活で子供にできることは何かを説明することも重要です。
適切な机があること、関節のこわばりがなければ学校にいる間は普通に過ごしていいこと、 書くことはできるが困難であることなどです。
体育の授業は可能な限り参加してよいですが、運動する際の問題点についてよく考え、
話し合って考慮してもらうようにしておくとよいでしょう。
子供にとって学校は、大人の仕事場と同じであり、 自立した一人の人間としてやっていかなければなりません。患者さんと教師はできることをし、
学業の成功のために通常どおり学校活動に病気を持った子供たちが参加できるようにし、 それだけでなく周りの友達や大人たちとよい関係を築き、
友達に受け入れられ認められるようにしなければなりません。

子供たちは将来大人になって普通の生活を送れるようになるの?
これは治療の大きな目標の一つであり、多くの患者さんが目標に到達することができています。
JIAの治療法はここ10年で劇的に進歩しており、
近い将来いくつかの新しい薬ができてくると考えられます。
薬剤による治療とリハビリテーションの組み合わせによる治療は今も多くの患者
さんの関節のダメージを予防しています。
最も注意すべき点は、 子供やその家族に対する病気の与える心理的衝撃です。
JIAのような慢性疾患は、
家族全員にとって困難な試練であり、
更に病気がもっと深刻なことになれば、それに対処していかなければなりません。
親御さんが対処できなければ、 子供が自分の病気に適切に対処することは困難です。
様々な問題から子供を守ろうとして病気の子供に対する強い愛情が芽生え、
それが過保護になってしまうことがあります。
親御さんが積極的な考えや態度で病気にもかかわらずできるだけ自立しようとする子供を守り・
励ましてあげることは、
病気に関する困難に打ち勝ち・ 友達とうまくやっていき・ 自立をうながし人格形成をすることに、
きわめて価値ある救いとなります。
必要な時には小児リウマチ専門医から心理的サポートを申し出ることもあ ります。
(訳:鹿児島大学小児科 丸山慎介)